あげくだ生活ナビ4/20号 待つ

みなさん、こんにちは。

注文すれば翌日に届き、ボタンを押せばすぐ答えが返ってくる。

便利な世の中になりました。

しかし、今回紹介する商品は、買ったからといって、すぐには何も起こりません。

芽が出るのを待つ。

形が変わるのを待つ。

卵から命が生まれるのを待つ。

そして中には、何年待っても何も来ないかもしれない商品まであります。

結果が出るまで待てない人には、まったく向いていません。

それでも、昨日とほとんど変わらない鉢や容器を、今日もまたのぞき込んでしまう。

今回は、そんな「待つ。」ための商品を集めました。

あげくだ生活ナビのキャラクター ひよっこ

■1 種から赤松を育てる盆栽栽培キット


The BONSAI 盆栽栽培キット

栽培セット The BONSAI 盆栽栽培キット
種から樹木を育てる、陶器製鉢・赤松種付き


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種から盆栽を育てるのは、実はかなり難しい。

まず、種をまいてもすぐには芽が出ない。

発芽したとしても、出てくるのは写真で見るような立派な盆栽ではなく、今にも倒れそうな細い苗木である。

野菜や花より成長は遅く、写真のような姿に近づくまでには、少なくとも一年ほどかかる。

その間には、鉢を替えたり、枝ぶりを考えたり、幹を太くする工夫をしたりと、手間も増えていく。

毎朝のぞき込んでも、昨日との違いはほとんど分からない。

それでも水をやり、鉢を回し、日当たりを気にする。

テーブルの上で必死に生きようとする赤松を眺めながら、こちらも少しだけ立派に生きなければならないような気がしてくる。

もっとも、赤松の成長より、自分の老化の方が早いことに気づく可能性もある。

■2 毎日見ても、ほとんど変わらない結晶育成キット


RoastMe 結晶育成キット

RoastMe 結晶育成キット
成長結晶6個セット・ディスプレイボックス付き


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水に材料を溶かし、あとは結晶が育つのを待つ。

文章にすれば簡単だが、出来上がる形や大きさは、実際にやってみるまで分からない。

水の量や温度、冷えるまでの時間、わずかな条件の違いによって、出来上がる結晶は変わる。

昨日より大きくなった気がして、家族を呼びつける。

しかし家族には、昨日とまったく同じにしか見えない。

本人だけが、

「この角が少し伸びた」

「昨日はここに線がなかった」

などと主張し始める。

昔の化学の授業を思い出しながら、何も起きていないように見える時間を楽しむ。

完成した結晶を買うより、よほど気が長く、よほど面倒である。

だから面白い。

■3 何が生まれるか分からないメダカの有精卵


メダカのおみくじ有精卵20個

青龍・過背金龍も当たる!
メダカのおみくじ有精卵20個


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有精卵を育てる機会なんて、普通に暮らしていれば、まず巡ってこない。

しかもこの商品は、100種類以上のメダカの中から、どの品種の卵が届くか分からない。

青龍、過背金龍、漆黒、レッドクリフ、ネプチューン、金閣、オロチ。

名前だけ聞いていると、メダカというより、秘密結社の幹部会である。

卵が届く前に、孵化方法や飼育方法をよく調べておこう。

メダカの卵は、日ごとに内部の様子が変化し、やがて小さな目や体が見えるようになる。

そしてある日、本当に小さな命が水の中を泳ぎ始める。

誕生の瞬間は、確かに感動的である。

ただし、感動して終わりではない。

孵化したその日から、餌、水温、水質、容器、置き場所をめぐる飼育生活が始まる。

生命のおみくじを引いた責任は、意外に重い。

■4 一億年以上前から、孵化する日を待っているカブトエビ


カブトエビ休眠卵100粒 餌付き

カブトエビ休眠卵100粒・餌付き


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可愛いと呼ぶには、少し勇気がいる。

日本の田んぼでも時折見かけるカブトエビは、うまく成長すると体長5センチほどにもなる。

見た目は、小さなカブトガニと三葉虫を足して、少し平たくしたような生き物である。

休眠卵を水に入れ、孵化するのを待つ。

昨日までは何もいなかった容器の中に、ある日、小さな生き物が動いている。

それを見つけた瞬間は、相当うれしい。

しかし、成長するにつれて別の疑問も湧いてくる。

こいつは一体、何のために生まれてきたのか。

コヤツはいま何を考えているのか。

そして、成長したカブトエビたちを、この先どうすればよいのか。

孵化を待つ時間より、孵化した後の処遇に悩む時間の方が長くなるかもしれない。

■5 レタス数枚のために、部屋中を右往左往する水耕栽培キット


iDOO 室内水耕栽培キット

iDOO 室内水耕栽培キット
LEDライト・水中ポンプ付き、8株同時栽培可能


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水耕栽培セットは面白い。

小さな芽がいくつか出てきたところから、持ち主の苦労が始まる。

どの芽を残し、どの芽を摘むか。

少し成長が遅ければ、光が足りないのではないかと考える。

エアコンの風が当たると気づけば、装置を別の場所へ運ぶ。

太陽が出れば窓際へ移し、暑くなればまた戻す。

レタス数枚を育てるために、室温、日照、風向き、水の量を管理し、本人だけが農業法人の社長のような顔をする。

一か月から二か月ほど待てば、自分で育てた野菜を収穫できる。

量だけを考えれば、スーパーで買った方が早くて安い。

それでも、食べられる植物が手元で育っているという安心感は、原始時代の人類が初めて作物を育てたときの喜びに、ほんの少しだけ通じている。

レタス一枚を大げさに語れるのも、自分で育てた者の特権である。

■6 まだ見ぬ数万匹の入居者を待つミツバチの巣箱


観察窓付き重箱式ミツバチ巣箱

観察窓付き重箱式ミツバチ巣箱
杉材・3層タイプ


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郊外の戸建てに住んでいるなら、庭にこんな箱を置いてみるのも面白い。

これはミツバチの巣箱である。

ただし、買ったからといって、ミツバチが付いてくるわけではない。

庭に置き、近くを飛んでいる分蜂群が、この箱を気に入ってくれるのを待つ。

数週間待っても来ない。

一年待っても来ない。

それでも春になると、箱の周りを見回してしまう。

ひょっとすると二年目、三年目に、女王蜂を中心とした群れが引っ越してくるかもしれない。

何年も待っていた空箱に、ある日突然、数千匹、数万匹の入居者がやって来る。

そんなことが本当に起きれば、感動は相当なものだろう。

もっとも、ミツバチが来れば、眺めて喜んでいるだけでは済まない。

巣の管理、スズメバチ対策、採蜜、近隣への配慮など、持ち主の仕事も一気に増える。

商品を買っても、何も起きない可能性がある。

何も起きなかったとしても、毎年春になると少し期待してしまう。

気長に待つための商品として、これほど筋金入りの一品も珍しい。

なお、巣箱の設置や飼育を始める前には、地域の規則、必要な届出、安全な管理方法を必ず確認してほしい。

編集者の一言

人は、待っている間にいろいろなことを考える。

芽は出るのか。

結晶は大きくなるのか。

卵から何が生まれるのか。

空の巣箱にミツバチは来るのか。

しかし本当に試されているのは、商品の方ではない。

毎日同じ鉢をのぞき込み、昨日と変わらない容器を眺め、それでも世話を続けられるか。

試されているのは、買った人間の根気である。

待った末に何かが生まれればうれしい。

何も生まれなくても、そのうち話の種くらいにはなる。

ただし、生き物を買った場合は、飽きても途中で放り出さないように。

待つことには、最後まで付き合う責任も付いてくる。


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